この前、久しぶりに新聞を読んだら、「客席からは感嘆の声が上がっていた」という一文がありました。
“感嘆”って言葉、自分は使ったことないですし、SNSとかで見ることもない気がします。
“感嘆”がどんな意味なのか、調べていきたいと思います!
感嘆の意味は?
早速、辞書で“感嘆”の意味を調べてみます!
- 感心してほめたたえること。感じ入ること。(小学館『デジタル大辞泉』)
- すばらしいことだと喜びおどろくこと。(ベネッセ『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』)
- ①感心してほめたたえること。
②なげき悲しむこと。(三省堂『大辞林 第三版』) - よくやったものだ(こんなすばらしいものがあったのか)と感心すること。(三省堂『新明解国語辞典 第七版』)
とあります。
また、角川学芸出版『類語国語辞典』では“感嘆”は、
- 心の中の感動を外に表すこと。
- 褒めたたえること。
の二つのグループに属する言葉として分類されています。
さらに、『実用日本語辞典』によると、
≪感心・感動のあまり声やため息を漏らすさま。褒め称える様子を意味する表現。「嘆嗟」のように嘆き悲しむ意味もあるが、昨今ではこちらの意味で用いられることは稀。≫
とあります。
今回調べた五つの辞書のうち、「なげき悲しむ」の意味を掲載しているのは一つだけだったことから考えても、現代社会で日常的に使う分には、ざっくり“感嘆”は「感動してたたえる」という意味とつかんでおくことが必要だと分かりました!
感嘆の正しい使い方の例文は?
では、“感嘆”は具体的にはどのように使えばいいのでしょうか?
辞書の例文には
- 「あの熱意には-する」 「 -おくあたわず」(三省堂『大辞林 第三版』)
- 「―の声をあげる」「熱意と努力に―する」(小学館『デジタル大辞泉』)
- 「勇気と努力に―する。」「―これ久しゅうする」「-の声を放つ」「-おく能(あた)わず」(角川学芸出版『類語国語辞典』)
- 「―これ久しゅうする〔=つくづく感嘆する〕」(三省堂『新明解国語辞典 第七版』)
などが紹介されていました。少し難しいものもありますね・・・。
二つの辞書の例文として取り上げられていた、“感嘆おく能(あた)わず”の【おく能わず】は、少し古めかしい表現ですが「〇〇せずにはいられない」「〇〇するのをやめられない」という意味です。
つまり、“感嘆おく能(あた)わず”は「感嘆せずにいられない」「感嘆をやめられない」といった意味と言えますね。
また、“感嘆これ久しゅうする”も複数の辞書で紹介されている表現ですが、【久しゅうす】というのは「長いこと〇〇する」という意味の言葉です。
ですので、“感嘆これ久しゅうする”とは「ずっと感嘆し続ける」といった意味ととれます。
つまり、“感嘆おく能(あた)わず”も“感嘆これ久しゅうする”も共に、強い感動、称賛の気持ちを表す言葉と言えそうです。
少し、古い表現に目が向きましたが、現代的な使われ方としては
- 聞き手の―の声
- しきりに―する
- ―に近い驚き (以上三例文 三省堂『てにをは辞典』より)
といった表現があります。
感嘆詞や感嘆符の意味は?
“感嘆”ということばと共によく見かけるのが、“感嘆詞”“感嘆符”ということばですよね。
少し専門的な言葉のように感じますが、どんな意味なのでしょうか?
まずは【感嘆詞】の意味から調べてみたいと思います!
① 感嘆のあまり発する言葉。②⇒感動詞(かんどうし) (小学館『デジタル大辞泉』)
① 感嘆して発する言葉。② 「感動詞(かんどうし)」に同じ。(三省堂『大辞林 第三版』)
とありましたので、続いて【感動詞】を調べると
- 品詞の一。(中略)話し手の感動を表す「ああ」「おお」の類をはじめ、呼びかけを表す「おい」「もしもし」の類や、応答を表す「はい」「いいえ」の類(中略)間投詞。感嘆詞。(小学館『デジタル大辞泉』)
- 品詞の一。感動詞は、一般に文のはじめにあって、感動・呼びかけ・応答などの意を表す。「まあ、きれいだ」の「まあ」、「もしもし、中村さんですか」の「もしもし」、「はい、そうです」の「はい」などの類。感嘆詞。間投詞。(三省堂『大辞林 第三版』)
と詳しく説明がありました。つまり、【感嘆詞】とは「感嘆したときに発することば」また、「文頭で“感動・呼びかけ・応答”の意味を持つことばの、品詞としての分類」ということですね。
では続いて【感嘆符】とは何のことでしょうか?
- エクスクラメーションマーク(三省堂『新明解国語辞典 第七版』)
- 感嘆の気持ちを表す符号「!」。イクスクラメーションマーク。(小学館『新選国語辞典 第八版』)
- 感嘆文の終わりに付ける「!」の符号。エクスクラメーションマーク。(三省堂『大辞林 第三版』)
つまり、【感嘆符】とは私たちがとてもよく使う、【!】マーク(いわゆる、ビックリマーク)のことだったのですね!!これにはとても驚きました!!!!!
感嘆の類語は?
感嘆の類語には
- 詠嘆…感動を声に出すこと
- 褒める
- たたえる
- 称賛する
- 賛美…心から褒めたたえること
- 賛嘆…深く感心して褒めたたえること
- 嘆じる…感心して褒めたたえること
- 絶賛
(以上 角川学芸出版『類語国語辞典』より)
などがあげられます。
これらの類語を見ていくと【嘆】の字そのものに、「感心する」「褒めたたえる」の意味合いがあるようにも思えますが、辞書を引いてみると【嘆】という字そのものには、「なげく」「気落ちしてため息をつく」という意味しかない(角川書店『角川新字源』)のだそうです。少し、不思議だなと思いました。
感嘆の対義語は?
それでは最後に、“感嘆”の対義語を調べてみたいと思います!
“感嘆”は角川学芸出版『類語国語辞典』では≪称賛:褒めたたえること≫のグループに属していると、上の方でご紹介しましたが、このグループの反対とされるのが≪嘲罵(ちょうば):あざけののしること≫の意味を持つ言葉のグループです。このグループには
- 貶す(けなす)…値打ちがないかのように悪く言う
- 謗る(そしる)…人を悪く言っておとしめる
- 罵る(ののしる)…乱暴に卑しめて言う。大声で非難する
などの言葉があります。
ですので、これらの言葉は感嘆の類義語と考えられます!
それでは、長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!