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火急の意味や使い方の例文!類義語や可及・至急との違い・英語も!

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先日、上司から「火急の用件で先方から呼び出されたため、会議は延期」と伝達がありました。

そこで同僚に、「火事だなんて・・・大変だな」と話したら、大笑いされてしまいました。“火急”って「火事」という意味ではないんですね。恥ずかしかったです・・・。

そこで今回は、“火急”について調べてみたいと思います!

火急の意味は?

まずは、“火急”の意味を辞書で確認していきたいと思います!

【火急】各辞書の意味

か‐きゅう【火急】
・火のついたように、さし迫った状態にあること。また、そのさま。緊急。
(小学館『デジタル大辞泉』より)

かきゅう【火急】
・非常にさし迫っている・こと(さま)。
(三省堂「大辞林 第三版」より)

火急【かきゅう】
・〔火が燃え広がるときのように〕差し迫ったようす。急ぎ。
(ベネッセコーポレーション「ベネッセ国語辞典 電子特別編集版」より)

かきゅう【火急】
・〔火が燃え広がるように差し迫っている意〕(対応・処理などを)急いでしなければならない様子。
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)

このように、“火急”は「差し迫った状況で、急いで対応が必要」という意味なのですね!

火急の正しい使い方の例文は?

では、“火急”はどのように使えばいいのでしょうか?

まずは辞書に記載された例文を見ていきたいと思います!

【各辞書の例文】
「火急な(の)用事」
(小学館『デジタル大辞泉』より)

「何か-の要事が有るやうで/浮雲 四迷」
(三省堂「大辞林 第三版」より)

「―の用事」
(ベネッセコーポレーション「ベネッセ国語辞典 電子特別編集版」より)

「―の用」
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)

 

このように、「用事」に使われる例ばかりでした!

続いて、実際の文章の中ではどのように使われるのかも調べてみたいと思います。

・彼女の他の何か火急な用件を証していた。
(石原慎太郎『化石の森』より)

・レイグルは、なにか火急の用があって城を出たわけではない。
(吉野匠『レイン6 大戦勃発 !』より)

・こんな火急の場合、なすを簡単に漬ける方法をご紹介しましょう。
(平野雅章『食物ことわざ事典』より)

・夜遅く火急の用というのであれば、法師にとっても秘密を要するのであろう。
(福永武彦『風のかたみ』より)

・二人の男女が恐るべき火急の危険からロンドンで身を隠そうとしている。
(ドイル/延原謙訳『シャーロック・ホームズの最後の挨拶』より)

 

小説の中でも、やはり「用事」に使われることが多いのですね!上にあげたほかには「問題」「願い」「相談事」「金」などに“火急”を使う例がありました。

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火急の類義語は?可及・至急との違いも!

それでは、“火急”にはどのような類語があるのでしょうか?

角川学芸出版『類語国語辞典』を参考に見ていきたいと思います。

『類語国語辞典』の中で“火急”は「非常に急ぐこと。火が燃え広がるように切迫する意〔文章〕」と解説されていて、【速さが急なこと】のグループに分けられています。

このグループの中には

・急ぎ
・至急・・・非常に急ぐこと
・早急(さっきゅう)・・・非常に急なこと。「そうきゅう」とも。
・特急・・・特に急いで行うこと
・緊急・・・重大で非常に急を要するさま〔文章〕
・緊切(きんせつ)・・・非常に差し迫っていて切実な様子〔文章〕

 

といった表現があげられています。

普段から使う、なじみのある言葉もありますが、主に文章で使われる文章語(〔文章〕と表記)の表現も様々ありますね!そして、“火急”も文章語のですね。ですので、普段のカジュアルな会話で使うのは違和感があるといえます。

また、同じく〔かきゅう〕と読む言葉に【可及】がありますよね。

この【可及】と【至急】、“火急”はどのように違うのでしょうか。少し詳しく考えてみたいと思います。

まずは簡単に【可及】と【至急】の意味を辞書で確認したいと思います。

【可及】は必ず【的】を伴う表現なのか、辞書では【可及的】という項で紹介されていました。

かきゅうてき【可及的】
〔漢文の「可レ及」からできた語〕
できるかぎり。なるべく。

「 -速やかに撤去せよ」
(三省堂『大辞林 第三版』より)

しきゅう【至急】
非常に急ぐこと。大急ぎ。
「 -の用事」 「 -連絡してほしい」
(三省堂『大辞林 第三版』より)

そのように、辞書を見ていくと、【可及的】は「できる限り」という意味で、【可及的】そのものに≪急ぐ≫という意味はないことがわかります。

そのため、単語そのものの意味は“火急”とは全く異なるので、読みは同じですが混同しないようにしたいですね。

ただし、通常、「速やかに」などのような≪急ぐ≫という意味のことばを伴って使われるため、“火急”と同じような文脈の中で出てくるのですね。

一方、【至急】は「とても急ぐこと」という意味で、“火急”と似た意味を持っています。

ただ、“火急”はこれまで見てきた辞書の解説に〔火のついたように、さし迫った状態〕と書かれているように、【至急】にはない、「追いつめられ、焦っているような状況」といったニュアンスが感じ取れるといった違いがありますね。

火急の英語表記は?

では、“火急”を英語で表現する場合の訳を見てみましょう。

・urgency/urgent・・・切迫(した様子)、急迫、緊急
・pressing・・・緊急の
・imminent・・・今にも起こりそうな、差し迫った、切迫した
・emergency・・・非常時、緊急
(研究社『新和英中辞典』より)

といった単語があげられています。

【pressing】は私たちにも非常になじみのある【press】(押す、押し込む)の現在分詞形です。

また、【emergency】は電車の英語車内放送で非常ベルのことを【emergency alarm】【emergency button】と言っているのを聞くことがあるかもしれません。

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まとめ

それでは最後に、今回のポイントをまとめたいと思います!

・“火急”は差し迫った状況で、急いで対応が必要という意味

・“火急”は文章語なので基本的には文章の中で使うのが一般的

・“火急”と【可及】は読みが一緒だが、意味は異なるので注意

・“火急”には【至急】にはない、切迫した状況というニュアンスがある

それでは最後までお読みいただきありがとうございました!