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範疇の意味と語源!使い方の例文から類語・英語表記や”範囲”との違いも!

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先日インターネットで「どこからが浮気の範疇?」というアンケートを見かけました。

この“範疇”何となくしか意味が分からず、読みに至っては全くわかりません!

というわけで、今回は“範疇”について調べてみたいと思います!

範疇の意味や読み方は?

まずは、辞書で“範疇”の意味と読みを確認したいと思います。

【範疇】各辞書の意味

はん‐ちゅう【範×疇】
《「書経」洪範の「天乃ち禹に洪範九疇を錫(たま)う」から》
1同じような性質のものが含まれる範囲。カテゴリー。
2 哲学で、あらゆる事象をそれ以上に分類できないところで包括する一般的な基本概念。
(小学館『デジタル大辞泉』より)

はんちゅう【範疇・範畴】
≪「書経洪範」の「洪範九疇」の語による井上哲次郎の訳語。「哲学字彙」(1881年)に英語 category の訳語として載る≫
①  同じ性質のものが属する部類。部門。領域。カテゴリー。
②  〘哲〙 〔ドイツ Kategorie〕 実在や思惟の根本形式。概念のうちで最も一般的・基本的な概念。
(三省堂『大辞林 第三版』より)

範疇【はんちゅう】
【1】同類のものが属すべき範囲・部門。カテゴリー。
【2】〔哲〕一般にもっとも共通の基本概念。究極概念。カテゴリー。
(ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』より)

はんちゅう【範疇】
〔「疇」は、類の意〕物事が必ずそのどれかに属する、基本的な区分。種類。カテゴリー。
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)

と、各辞書ではこのように記載されています。“範疇”は「はんちゅう」と読むんですね!

それでは、自分なりに意味をざっくりとまとめてみたいと思います!

【範疇】の意味と読み方のまとめ
<読み方>はんちゅう
<意味>
①似た性質をもつものが属する部門、区分、カテゴリー。
②〔哲学における用語〕概念のうち、最も根本的なもの。

私たちが普段の生活で使うのは、①の意味の方ですね!

範疇の語源は?

続いて、“範疇”の語源について調べていきたいと思います。

意味調べで使った辞書でも語源に触れられていましたね。

《「書経」洪範の「天乃ち禹に洪範九疇を錫(たま)う」から》
(小学館『デジタル大辞泉』より)

≪「書経洪範」の「洪範九疇」の語による井上哲次郎の訳語。「哲学字彙」(1881年)に英語 category の訳語として載る≫
(三省堂『大辞林 第三版』より)

≪「疇」は、類の意≫
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)

と、これだけ見てもいまいちわかりません・・・。

もう少し詳しく調べてみましょう。

【洪範九疇(こうはんきゅうちゅう)】というのは、「書経(しょきょう)」という中国の古い書物に記された政治道徳の九原則のことなのだそうです。

ちなみに、【洪範】というのは、「模範的な重大な法」のことで、【疇】は「田んぼを区切るあぜ道」のことです。

幕末明治頃、西洋哲学の概念である【category】という単語を日本語に翻訳しようとした際、当時の日本には【category】に当てはまることばが存在しなかったことから、訳者が【洪範九疇】のうち二文字をとって“範疇という単語をつくったのだそうです。

“範疇”という言葉は比較的新しい日本語ということですね!

そして、このように、元々は哲学用語だった“範疇”が、現在では一般にも使われる言葉になったのですね。

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範疇の正しい使い方の例文は?

さて次に、“範疇”の正しい使い方について調べてみたいと思います。

まずは辞書の例文を見ていきます。

【各辞書の例文】
「コメディーの―に属する映画」
「趣味の―を出ていない」
(小学館『デジタル大辞泉』より)

「同一の-に属する要素」
「美的-」
(三省堂『大辞林 第三版』より)

「数学の―に属する」
(角川学芸出版『類語国語辞典』より)

 

このような例文がありました。【属する】という表現と共に使われている例が多いのが印象的ですね!

では、続いて、実際の文章の中ではどのように使われるのかも見てみたいと思います。

【実際に文中で用いられている例】

・仕事の出来る男の範疇に自分が入っていることは確かだと信じていたのだ。
(柴田よしき『Close to You』より)

・俺おれは日本中の男の中でも中の上の範疇には入る、と胸を張って言いました。
(山本文緒『日々是作文(ひびこれさくぶん)』より)

・恐らくこの部屋の奇妙な状態は、彼女の理解の範疇越えているだろう。
(縞田理理『霧の日にはラノンが視える3』より)

美人の範疇入れるとしても、まず当たり前の美人ではあり得なかった。
(荻原規子『西の善き魔女1 セラフィールドの少女』より)

・こんな動物的な人間だから、動物の範疇超えた叡智などあるわけはない。
(山田風太郎『戦中派不戦日記』より)

 

このように、実際に文章で用いられている例では、【部類】と言い換えられるものと【範囲】と言い換えられる使われ方があるように感じました。

また、〔入る〕〔こえる〕といった動詞を伴って使われることも多いですね!

範疇の類語は?範囲との違いも!

それでは、“範疇”と似た表現にはどのようなものがあるのでしょうか。

角川学芸出版『類語国語辞典』では【種類】【類(たぐい)】【ジャンル】【カテゴリー】【種別】といった単語が“範疇”と近い語として示されています。

これらの語はこの辞書では、共通の性質をもつ物事に組み分けしたものという意味の言葉を集めたグループに属しています。

また似たように思える言葉に【範囲】がありますよね

しかしこちらは、角川学芸出版『類語国語辞典』ではある限られた広さの限界、その内という意味を持つ別のグループに属していて、そのグループには【領域】【域】【境域】といった単語が含まれています。

この二つのグループの違いは少しあいまいな気もしますが、

範疇と範囲の違い

上の図のように、似た要素の事や物をグループに分けたのが〔共通の性質をもつ物事に組み分けしたもの〕=“範疇”で、一方、広さや時間などの特定の部分を区切ったものが〔ある限られた広さの限界、その内〕=【範囲】と言えます!

しかし、文章中の例文でも見た通り、“範疇”は【範囲】と似たようなニュアンスで使われることもあるため、この二つの境目ははっきりしたものでなく、あいまいだと考えておいた方がいともいえると思います。

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範疇の英語表記は?

それでは次に、“範疇”を英語で表現する場合の表記を簡単に確認してみましょう!

元々、“範疇”はcategoryという単語を和訳するためにつくられたことばだということは、語源調べの部分で触れましたね!

Categoryの他には、【class】【family】も“範疇”の英訳として使えるそうです。(「日本語WordNet」より)

まとめ

それでは最後に今回のポイントをまとめます!

・“範疇”ははんちゅうと読む

・“範疇”は「似た性質をもつものが属する部門、区分、カテゴリー」の意味

・“範疇”は【category】を和訳するため、【洪範九疇】のうち二文字をとって明治ごろつくられた

・“範疇”と【範囲】は似た要素の事や物をグループに分けたのが範疇で、広さや時間などの特定の部分を区切ったものが範囲と分けることもできるが、実際の使用の際にはその違いはあいまい

以上で“範疇”調べは終了です。

最後までお読みいただきありがとうございました!