モドリッチにラキティッチにマンジュキッチ。
ロシアW杯で準優勝したクロアチア代表選手の多くの名前の語尾につく”ッチ”という名前が気になります。
クロアチアだけでなく、セネガルなど東欧人の多くの選手の名前に使用されるッチという言葉の意味を詳しく調べてみました!
”ッチ”がつく名前の意味は?東欧人に多く使用!
ッチ”は東欧人の名前に多く使われる!
まず、この”ッチ”という語尾ですが、アルファベット表記では、「-ic」という文字で表されます。
そしてこの「-ic」という表記ですが、主に使われているのは旧ユーゴスラビアのスラヴ語の話者の間のようで、現在の国名でいうと、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、マケドニア共和国、スロベニア、モンテネグロということになります。
ロシアW杯の出場国ではクロアチアの他に、セルビアも「-ic」を使うということで、調べてみましたが、なんと、セルビアの選手で語尾に”ッチ”がつくスタメン選手は11人中9人(監督含めると12人中10人です!)ということでクロアチアを上回る”ッチ”の多さだったんですね!
セルビア出身の選手で、日本人気ダントツNo1.は、名古屋の絶対的なエースだったピクシーこと、ストイコビッチ選手でしょうが、彼の名前にもやはり”ッチ”がついています。
”ッチ”の意味は息子(子)
それでは、スラヴ語で「-ic」という文字がどんな意味を持つのか調べてみました。
ちなみに一言にスラヴ語と言っても下記の通りかなり幅広いです。
スラヴ語とは
インド=ヨーロッパ語族の一語派。ヨーロッパ中東部からシベリアにかけて,約3億の人々に話されている。次の3群に分れる。 (1) 東スラブ語 ロシア語,ウクライナ語 (小ロシア語) ,ベラルーシ語。 (2) 西スラブ語 ポーランド語,チェコ語,スロバキア語,高地ソルブ語,低地ソルブ語。 (3) 南スラブ語 スロベニア語,セルボ=クロアチア語,マケドニア語,ブルガリア語。これらはすべて現在も話されている言語で,ほかにロシア正教の儀式に現在も用いられる教会スラブ語と,18世紀に死滅したポラビア語がある。
これだけ多くの国で、3億人の人々に使われる語族というのは驚きですね。
この中で「-ic」という言葉に共通する意味ですが、「~の息子」「~の子」だそうです。
”「~の息子(子)」って言われたら、誰でもそうなんじゃないの?”
という根本的な疑問が生まれますが、実はその通りで、基本的にスラブ人は全員”ッチ”がつくようです。
元々スラブ人は名字をもっておらず、近代化の流れの中で名字を持った際に、~さんの息子という意味で(たとえばカズアキさんの息子だとしたら)カズアキッチというように”ッチ”がつく名前になったようなんですね。
だからコバチェビッチはコバチの息子という意味ですし、大工さんという職業を意味するスタンコさんの息子は、スタンコビッチという大工の息子という意味になりました。
少し大まかで、諸説ある話のようですが、でも日本人も一般人が名字を持つようになったのは明治以降ですし、その名前の付け方も田んぼの中に住んでるから田中というような付け方ですもんね。
急に名字を持つようになった当時の人々は(日本人も含んで)名字の付け方にこだわりがなかったのかもしれません。
他にもこんなにたくさん!”息子”を意味する世界の名前
実は、「-ic」が持つ「~の息子(子)」という意味ですが、実は欧米諸国では結構メジャーなようで、聞き覚えのあるたくさんの名前にもその痕跡があります。
まずは英語圏!
”息子”と言えば、中学校で習った一般的な単語は「son」ですが、実はこれが含まれている名前がたくさんあります。
たとえば、リチャードソン。
ナターシャ・ジェーン・リチャードソンというトニー賞を受賞した有名なイギリス人女優がいましたが、彼女の名前はNatasha Jane Richardsonと表され、sonが含まれていますね。
これは彼女の祖先に、Richard(リチャード)が含まれていたということです。
次に、2018年のウィンブルドンテニスで決勝に進出したケビン・アンダーソン選手!
彼もやはり表記はKevin Andersonで、sonが含まれており、Ander(アンダー)さんが祖先にいたのでしょう。
他にも第3代アメリカ大統領のジェファーソン(Jefferson)、音楽界のキングことマイケル・ジャクソン(Jackson)、医薬品の販売で有名なジョンソン・エンド・ジョンソンの創始者兄弟もジョンソン(Johnson)と数えだしたらきりがないほどにsonがいますね!
他にも主な海外の「~息子(子)」を持つ名前は下記の通りです!
- 北欧:「~セン」(アンデルセン)
- フィンランド:「~ネン」(ライコネン)
- ロシア系:「~フ」(ゴルバチョフ)
- ポーランド系:「~スキー」(チャイコフスキー)
※「スキー」は「~の一族」の意味です。
どれも聞いたことある名前で、「~息子(子)」という名前の付け方は欧米諸国に多く見られる名前の付け方であることが分かりますね!
日本と欧米諸国で違う名字の付け方に関する考え方!
欧米諸国では一般的な「~息子(子)」という名字の付け方、日本代表にも昌子選手がいましたが、少し珍しい名字ですし、あまり”〇子”という名字は聞きません。
ただ、皇族である雅子さまや愛子さまなど、名前の方に「~息子(子)」をつけるのは日本でも一般的で、自分の子供に「~息子(子)」という言葉を与えるという考え方自体は共通のようです。
では、この違いはなにかというと、欧米諸国では自分の名前を付けるとき、親の名前や職業(アメリカで最もポピュラーの名字の一つであるsmith”スミス”は職人という意味)からとっているのに対し、日本では自分の周りの環境からとることが多かったということなんです。
田んぼの中に住んでいれば田中や中田ですし、鈴木や宮本のように自分が住んでいた地名が由来の人も多いです。
もちろん一概には言えず、例外もありますが、名字が自然環境や地名に関係あるという人はとても多いです!
アインシュタインと日本人の名前の付け方は共通している?
こういった、自然物を名前に持ってくる命名方法は、日本独自かと思いましたが、実はあの超天才科学者も同じ発想での名前の付け方だったことが調べて分かりました!
それは、相対性理論で有名なアインシュタイン博士です!
彼の名前は、Einsteinと書きますが、名前の意味はドイツ語で、Ein(一つの)・stein(石)ということで、石ころといった意味になります。
日本人と同じように、身の回りの自然物の名前になっていますね。
これは、当時差別を受けていたユダヤ人と他の人物を区別する為に、鉱物の名前をつけることしか許されなかったそうですが、日本人とユダヤ人の意外な共通点ということで面白い発見でした!
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!