先日、パワハラに関する研修を受けていたところ、「上司の恫喝に耐えかねて、専門部署にパワハラを訴えた事例」というのがありました。
この“恫喝”、わかるようなわからないような言葉です。
気になったので“恫喝”について調べてみたいと思います!
恫喝とは?恫喝の意味や読み方!
まずは、辞書を使って“恫喝”の読み方と意味を確認したいと思います!
【恫喝】各辞書の意味
〔どうかつ〕【恫喝・恫愒】
・おどしておびえさせること。
(三省堂『大辞林 第三版』より)
〔どうかつ〕【恫喝/恫愒】
・人をおどして恐れさせること。おどし。
(小学館『デジタル大辞泉』より)
〔どうかつ〕【恫喝】
・人をおどしつけること。おどかし。
(ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』より)
〔どうかつ〕【恫喝】
・相手の弱みに付け込んだりして、おどすこと。
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)
“恫喝“は「どうかつ」と読むのですね!
それでは、自分なりに意味をまとめたいと思います!
<読み方>わずらわしい
<意味>人をおどしておびえさせること
恫喝の正しい使い方の例文は?
では次に、“恫喝”の使い方の例を見てみましょう!
まずは、辞書にはどんな例文があるのでしょうか?
【各辞書の例文】
- 「 -を加える」
「 -して金品をまきあげる」
(三省堂『大辞林 第三版』より) - 「―して寄付を強要する」
(小学館『デジタル大辞泉』より) - 「-して金品を巻き上げる」
(角川学芸出版『類語国語辞典』より)
このように、金品を目的に“恫喝”するという例文が多くみられました。
次に、実際の文章の中ではどのように使われるのかも調べてみましょう!
【実際に文中で用いられている例】
- 野塩村のおみよという女子のことで、清左衛門に恫喝めいた口をきいた若い男である。
(藤沢周平『三屋清左衛門残日録』より) - かれらは恫喝するか、猫なで声で説得するか、のどちらかしかなかった。
(大野木寛『ラーゼフォン夢みる卵』より) - 刑事は、私に自供させようと恫喝を続けた。
(東野圭吾『殺人の門』より) - 恫喝の言葉とは裏腹に、ひっくり返った声は何かにひどく怯えていた。
(永瀬隼介『サイレント・ボーダー』より) - 大きくもなく恫喝の調子もない、機械のような声である。
(菊地秀行『吸血鬼ハンター07a D-北海魔行 上』より)
これらの例文を見てみると、“恫喝”は暴力をふるうことや武力をみせつけることによる脅しではなく、主に声をつかった脅しの際に使われているということが分かりました!
恫喝の類語は?
次に、“恫喝”にはどのような似た使い方の表現があるのか確認したいと思います。
ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』では、“恫喝”の類語として【恐喝】【脅迫】【脅す】をあげています。
また、角川学芸出版『類語国語辞典』では【強迫】【凄む】【威喝】といった表現も近い意味をもつ言葉として、同じグループに分類されています。
では、それぞれの言葉の意味も簡単に確認しましょう!
- 恐喝・・・金品を奪ったりしようとして脅すこと。
- 脅迫・・・脅かして言うとおりにさせること。
- 脅す・・・危害を加える様子を見せる。こわがらせる。
- 強迫・・・脅しつけて無理強いすること。
- 凄む・・・脅かすような態度を示す。
- 威喝(いかつ)・・・大声で相手を脅かすこと。
(以上 角川学芸出版『類語国語辞典』より)
恫喝と脅迫や恐喝との違いは?
では、“恫喝”と脅迫や恐喝はどのように使い分ければいいのでしょうか?
まずは簡単に【恐喝】と【脅迫】の意味を確認してみましょう。
相手の弱点・秘密などを種におどしつけること。ゆすり。 「スキャンダルを種に-する」(三省堂『大辞林 第三版』より)
① 他人にあることを行わせようとして、生命や名誉などを害するとおどしつけること。 「 -して金をまきあげる」 「 -状」
② 刑法上、相手に恐怖心を生じさせるために、生命・身体・自由・名誉・財産などに害を加えることを通告すること。
(三省堂『大辞林 第三版』より)
となります。
また、角川学芸出版『類語国語辞典』では
「-状」「―電話」「ピストルで―して金を奪う」
「暴力団に―される」「―罪」
と解説しています。
この例文から、【脅迫】は目の前にいない相手に対して手紙や電話で脅す際にも用いられることがわかります。
一方で、“恫喝”と“恐喝”に使われる、漢字の【喝】には
2 やんやと声を掛ける。「喝采 (かっさい) 」
3 おどす。「威喝・恐喝・恫喝 (どうかつ) 」
(小学館『デジタル大辞泉』より)
という意味があることから、“恫喝”と“恐喝”には「声で脅す」というニュアンスが感じられます。
さらに、角川学芸出版『類語国語辞典』では
〔「威嚇」は暴力・武力を誇示して縮み上がらせること自信に目的があるが、「脅迫」「恐喝」は、脅して無理に物事をさせたり、金品を巻き上げたりすることまでを含めていう。〕という注釈をつけています。
以上のことなどから、
【恫喝】・・・主に声を用いた脅しの際に使われる。必ずしも、金銭を巻き上げたり、相手を意のままにしたりするための手段として行うとは限らない。
【脅迫】・・・武力・暴力、また手紙や電話を用いたあらゆる方法の脅しの際に使える。金銭を巻き上げたり、相手を意のままにしたりするという目的のために行う脅し。
【恐喝】・・・主に相手の弱みに付け込んで声などで脅す際に使われる。金銭を巻き上げたり、相手を意のままにしたりするという目的のために行う脅し。
といった使い分けができると思います。
恫喝の英語表記は?
最後に、“恫喝”を英語ではどのように表現すればいいのか確認したいと思います!
研究社 『新和英中辞典』では“恫喝”の訳として以下のような単語が紹介されています。
・intimidation・・・脅し、威嚇、脅迫
・blackmail・・・ゆすり、恐喝(で得た金品)
【blackmail】は日本ではバラエティ番組などで気軽に使う言葉ですが、実は結構怖い意味なんですね!
外国では使い方に気を付けなければいけませんね・・・!
まとめ
それでは最後に今回のポイントをまとめます!
“恫喝”は「どうかつ」と読む
意味は、人をおどしておびえさせること
類語には【脅迫】【恐喝】などがあり、“恫喝”と“恐喝”には「声で脅す」というニュアンスが感じられる。また、“脅迫”と”恐喝“は金銭を得る目的のための手段として行うが、”恫喝“は相手を縮み上がらせることそのものが目的の場合もある。
今回はこれでおしまいです。
できれば、”恫喝はされたくないですね・・・!
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!