この前、帰省したんですが、その時、酔っぱらった親せきに「素性のはっきりしたいい子だからさぁ、会うだけ会ったらよ?」と暗にお見合いをすすめられたワタクシ。。。
一瞬呆気にとられましたよ。
・・・っていうか、そもそも“素性”ってそんな大事なもんなの?と疑問がふつふつ。
と、前置きが長くなりましたが、そんなこんなで、今回は“素性”について調べてみたいと思います!
素性の意味や読み方は?読み方は2つある?
まず手始めに、“素性”の意味や読み方を辞書で確認してみたいと思います。
【素性】
■す‐じょう〔‐ジヤウ〕(素姓/素生/種姓)
1 血筋。家柄。また、生まれ育った境遇。生まれ。育ち。
2 来歴。身もと。
3 出所。由緒。いわれ。
■そ‐せい
本来の性質。本性。すじょう。〔小学館『デジタル大辞泉』より引用〕
■す じょう -じやう (素性・素姓・種▽姓)
①人の生まれた家柄や血筋。生まれや育ち。
②人の生まれ育った境遇や歩んできた道すじ。
③物の由緒や由来。 〔本来は「種姓」で,スは「種」の呉音〕
■そ せい
・本来の性質。すじょう。〔三省堂『大辞林第三版』より引用〕
■すじょう(素性・素姓・素生)
【1】人の生まれや育ち。
【2】身元。経歴。また、由緒(ゆいしよ)。〔ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』より引用〕
と、私が見てみた三つの辞書では、ざっくり、「家柄・血筋/その人の経歴/由緒」といった意味が紹介されていました。
また、“素性”は「すじょう」「そせい」と二つの読み方ができることがわかりました!
素性の正しい使い方の例文は?
次に、“素性”の使い方を見てみたいと思います!
- 「―を明かす」(小学館『デジタル大辞泉』・三省堂『大辞林第三版』)
- 「氏(うじ)―」(小学館『デジタル大辞泉』・三省堂『大辞林第三版』・ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』)
- 「―の確かな品」(=由緒の確かな品)(小学館『デジタル大辞泉』)
- 「 -が知れない」
- 「 -のはっきりしない刀」(以上2例文 三省堂『大辞林第三版』)
- 「―がいい人」
- 「―のあやしい男」
- 「―の正しい品」(以上3例文 ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』)
とこのような例文が紹介されていました。
三つの辞書に共通して紹介されていた【氏素性】は一つの言葉のように使われることも多い表現のようです。
実際、『広辞苑 第六版』(岩波書店)では、【氏素性】は一つの項目としてあげられていました。
また、“素性”は人だけではなく、「物」にも使える表現というのは意外ですね!
素性の類語は?素性と身元の違いは?
素性の類語としてまず思いつくのが、【身元】ですよね。
他にも
素性の類語
- 出自(しゅつじ)
- 生まれ
- 家柄
- 生い立ち
- 育ち
- 前歴
(角川学芸出版『類語国語辞典』より引用)
ちなみに、“素性”と似た表現の“身元”がですが、この二つにはどのような違いがあるかわかりますか?
ニュースとかで「犠牲者の身元が判明しました」といった表現を耳にしますが、なぜ“素性”は使わないんでしょうか?
辞書を見てみると、
【身元/身許】
【1】その人の生まれや経歴などに関する事柄。
【2】その人の一身上のこと。〔ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』より引用〕
①〈そのひとが、だれ(どんな種類の人間)であるかを明らかにするための〉氏名・戸籍・経歴などその人に関する一切のこと。
②その人の一身上に関する事。〔三省堂 『新明解国語辞典 第七版』より引用〕
とありました。
そのことから、“素性”とは異なり、“身元”には「その人を認識するためのデータ(事柄)」というニュアンスがある、ということのようです。
また、“素性”の方が「家柄・血筋」という意味合いが強い、とも思いました。
さらに、“身元”には「その人のあらゆること」という意味合いがあり、「身元を引き受ける」「身元を保証する」という使い方がある点でも、“素性”とは違いますよね。
つまり
“素性”と“身元”の違いは
【素性】・・・家柄・血筋」という意味合いが強い
【身元】・・・①「その人を認識するためのデータ(事柄)」というニュアンスがある
②“身元”には「その人のあらゆること」という意味合いがある
ということになります。
素性の英語表記は?
最後に、“素性”は英語ではどのように表現するのか調べたいと思います!
- 〈生まれ〉【birth】【origin】
・素性がいい be of good birth
・素性が卑しいbe lowborn/ be of humble origin [background] - 〈身元〉【identity】
- 〈経歴〉【one’s history】【one’s past career】〔研究社 『新和英中辞典』より引用〕
- 〈人の生まれつきの社会的境遇/以前の経験や訓練〉
Background,history - 〈遺伝的特性〉
ancestry, filiation, derivation, lineage - 〈身許〉
identity operator, identity, identity element - 〈血縁関係〉
filiation, descent, birth, parentage〔日本語WordNet(英和)より引用〕
といった表現が紹介されていました。
色々あり、難しいものもありますが、【identity】【birth】【history】【background】などは日本語でも使われ、素性という言葉がうまく表されているものになりますね!
“素性”と“身元”の違いはなかなか難しかったですが、違いが分かるとすっきりしましね!
最後までお読みいただきありがとうございました!