先日、何気なく心霊スポットの記事を読んでいたら、そのなかに“カッパ”という場所が出てきました。
頭に皿をのせた妖怪の河童のこと?と思いながら読み進めるとどうやら、“喝破”と書くらしいことがわかりました。
この”喝破“、自分ははじめてみる表現でしたので、どんな意味なのかなど調べてみたいと思います!
喝破の意味や読み方は?
まずは、辞書で“喝破”を確認してみましょう!
【喝破】―各辞書の記載は?―
- かっ‐ぱ【喝破】
1 大声でしかりつけること。
2 誤った説を排し、真実を説き明かすこと。物事の本質を明言すること。
(小学館『デジタル大辞泉』より) - かっぱ【喝破】
① 大声でしかりつけること。
② 誤った説をしりぞけ、正しい説を確信をもって言い切ること。
(三省堂『大辞林 第三版』より) - かっ‐ぱ【喝破】
① 大声でしかりつけること。
② 誤りを正し、真実を説き明かすこと。物事を見抜いてはっきりいうこと。
(小学館『精選版 日本国語大辞典』より) - 喝破【かっぱ】
大声で他人の誤りを正し、真理を明らかにすること。
(ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』より) - かっぱ【喝破】
〔声を大きくして真理を説く意〕(誤りを退けて)何が真実であるか鋭く指摘すること
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)
各辞書に記載されていることを簡単にまとめると・・・
【喝破】の意味と読み方のまとめ
<読み方>かっぱ
<意味>
① 大声でしかりつけること。
② 誤りを正して、真実を明言すること。
喝破の正しい使い方の例文は?
それでは、続いて各辞書の“喝破”の例文を意味ごとに確認していきたいと思います。
【“喝破”の使い方-各辞書の例文-】
≪①大声でしかりつけること≫
- 「『返事をしないか!』と江間君の―した時」〈独歩・第三者〉
(小学館『デジタル大辞泉』/三省堂『大辞林 第三版』より) - 「『此頃の学士は何と意気地が無からう。〈略〉全(まる)で咄にならぬノウ』とのッけから―して」〈魯庵・社会百面相〉
(小学館『精選版 日本国語大辞典』より)
≪②誤りを正して、真実を明言すること≫
- 「思うままに―す可き適当の辞(ことば)を」〈蘆花・黒潮〉
(三省堂『大辞林 第三版』/小学館『精選版 日本国語大辞典』より) - 「神にも苦痛があるとは、たしかカライルが-したのである」〈泡鳴・神秘的半獣主義
(三省堂『大辞林 第三版』より) - 「日本美術の優秀性を―したブルーノ タウト」
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)
と①②のどちらでも、主に古い小説や論文の中の文章が引用されていました。
各例文に登場した人物・作品を確認してみると、
- 国木田独歩[1871~1908]『第三者』は明治36年(1903)発表
- 内田魯庵[1868~1929]『社会百面相』は明治35年(1902)刊行
- 徳富蘆花[1868~1927]『黒潮』は明治36年(1903)刊行
- 岩野泡鳴[1873~1920]『神秘的半獣主義』は明治39年(1906)刊行
- ブルーノ・タウト[1880 ~1938]はドイツの建築家
とすべて明治時代であることがわかりました。
このことから、“喝破”という表現は、明治時代に多く用いられた、いわば流行語のようなものであったと推測できます。
”喝破“という表現は現代で全く使われないわけではありません(実際、ネットニュースなどで使われる例もみつけました)が、自分が使うことになった場合は、周りに正しく伝わらなかったり、不自然に感じられたりすることもあることを頭に入れておくべきだなと思いました!
喝破の類語は?喝破と一喝の違いは?
では、“喝破”と似た表現にはどのようなものがあるのでしょうか。
角川学芸出版『類語国語辞典』では“喝破”は〔言明:公式の場ではっきりいうこと〕の「グループに分類されています。
このグループには他に
- 言い切る
- 明言・・・はっきりと言うこと
- 確言・・・はっきりと自信をもって言い切ること
- 断言
- 力説
- 道破(どうは)・・・言い切ること。言ってのけること
といった表現が分類されています。
このグループには分類されていないものの、似て感じられる表現に【一喝】がありますね。
【一喝】と“喝破”はどのように違うのでしょうか?
【一喝】は角川学芸出版『類語国語辞典』では〔叱責:過ちをしかってとがめること〕の「グループに分類され、「大声で一声にしかりつけること」と解説されています。
このことと、“喝破”の①②の意味から考えると、“喝破”と【一喝】の違いは以下のように考えられます。
- “喝破”は真実を明言するという意味があるが、【一喝】にはない
- 【一喝】には「一言で」という意味があるが、“喝破”にはない
- “喝破”は「はっきり言う」というニュアンスが強く、【一喝】は「叱責する」というニュアンスが強い
喝破の英語表記は?
それでは次に、“喝破”の英語表現を確認してみましょう!
- 【proclaimed】(proclaimの過去形、または過去分詞)宣言する
- 【argued down】言い破る、説き伏せる
- 【argued】論じる、論議する、主張する
- これは天下に喝破すべき真理である
The truth ought to be proclaimed from the housetop.
(日外アソシエーツ『斎藤和英大辞典」より) - 彼は並いる青年たちを喝破した
He argued down all the young people present.
(小学館 『プログレッシブ和英中辞典』より)
といった表現が辞書にはありましたが、どの表現も日本語の”喝破“のニュアンスと近いとは言いにくいもので、なかなか英訳が難しい単語なのだなと感じました。
まとめ
それでは今回のポイントのまとめです!
”喝破“の読み方は「かっぱ」
”喝破“には
① 大声でしかりつけること。
② 誤りを正して、真実を明言すること。
という意味がある。
“喝破”は現在はあまり使われない表現。自分が使うことになった場合は、周りに正しく伝わらなかったり、不自然に感じられたりすることもあることを頭に入れておく。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!