先日、「嫌悪感を抱かれない!好感度をあげる挨拶とは?」という記事を見かけました。”嫌悪感”、目にすることはありますが、これまで自分ではなかなか使うことはありませんでした。
嬉しい意味ではなさそうなので、意味などもしっかり押さえてからでないと使うのは不安です・・・
そこで今回は“嫌悪感”について調べてみたいと思います!
嫌悪感の意味や読み方は?
手始めに、”嫌悪感“を辞書で調べてみたいと思います!
辞書を引いてまず気付いたのですが、“嫌悪感”はこれで一つの単語なのではなく、
〔嫌悪〕+〔感〕
と二つの要素でできていることばだということです。
そこで、〔嫌悪〕と〔感〕に分解して意味などを確認してみたいと思います。
【嫌悪】―各辞書の記載―
- けん‐お【嫌悪】
・憎みきらうこと。強い不快感を持つこと。
「不正を嫌悪する」「嫌悪感」「自己嫌悪」
(小学館『デジタル大辞泉』より) - けんお【嫌悪】
・きらいにくむこと。ひどくきらうこと。
「 -感」 「蛇蝎だかつのごとく-する」
(三省堂『大辞林 第三版』より) - けん‐お ‥ヲ【嫌悪】
・(「悪(お)」はにくむの意) にくしみきらうこと。感情的にひどくきらうこと。(小学館『精選版 日本国語大辞典』より) - 嫌悪【けんお】
・ひどく憎みきらうこと。
「―の情」
(ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』より) - けんお【嫌悪】
・それを無くしてしまいたいほどひどくきらうこと。
「―を催す」「―感」
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)
どの辞書にも、「ひどく嫌う」「ひどく憎む」といった説明がありますね。
「強く」「ひどく」などと解説にあることから、軽く「いやだなぁ」というよりは、がまんするのがつらいような不快感を表していると考えられますね。
また、“嫌悪”はけんおと読むのですね。
悪は「あく」と読む場合が多いので「けんあく」と読みそうな気もしてしまいますが、「けんあくな雰囲気」という場合の【けんあく】は【険悪】と書き、意味も”嫌悪“とは異なるので間違えないように注意が必要ですね!
続いて〔感〕を三省堂『大辞林 第三版』で確認してみると、
かん【感】
- 物事を見たり聞いたりして起こる心の動き。
- 心が強く動かされること。感慨。
- 接尾語的に用いて、…の感じの意を表す。 「解放-」 「幸福-」
とあり、“嫌悪感”における〔感〕は③であると考えられますね!
【嫌悪感】の意味と読み方のまとめ
<読み方>けんおかん
<意味>
〔嫌悪〕ひどく嫌う、ひどく憎む
〔感〕~な感じ
⇒ひどく嫌ったり、ひどく憎んだりする感情
嫌悪感の正しい使い方の例文は?
次に、“嫌悪感”はどのように使えばよいのか確認してみたいと思います。
上の意味調べでみた辞書では“嫌悪感”としての例文は記載がなかったので、実際に小説の中で使われている例を調べてみたいと思います。
【“嫌悪感”の使い方-実際に文中で用いられている例-】
- そう言った時の、嫌悪感を露わにした妻の顔を今でも浅川は覚えている。
(鈴木光司『リング』より) - 私は彼らをはなはだしく憎んだが、あるいはひょっとすると彼らより劣っていたのかもしれない。 彼らのほうでも同様に私に報い、その嫌悪感をかくそうともしなかった。
(ドストエフスキー/中村融訳『地下生活者の手記』より) - 由子の本性に今では嫌悪感すら抱いているし、篠崎さんとのこともある。
(乾くるみ『リピート』より) - 凄まじいばかりの生理的な嫌悪感が、彼らの肌を一瞬にして粟立たせた。
(綾辻行人『十角館の殺人』より) - その濡れた瞳には、明らかな嫌悪感と、ある種の恐怖が満ちあふれていた。
(乃南アサ『躯(からだ)』より) - そのあたりには、日本人観光団が席を占めているらしかった。それになつかしさを感じたわけでも、嫌悪感をおぼえたわけでもなかった。
(村松友視『上海ララバイ』より)
このように、「あらわにする」「抱く」「おぼえる」といった表現とともに使う例があるのですね!
また、『地下生活者の手記』では、「はなはだしく憎んだ」という言葉の言い換えとして”嫌悪感“が使われています。
嫌悪感の類義語は?
次に、”嫌悪感“の類語を調べてみたいと思います!
角川学芸出版『類語国語辞典』には“嫌悪感”は記載がないので、【嫌悪】について調べてみたいと思います。【嫌悪】は〔嫌悪:憎み嫌うこと〕のグループを代表する言葉として載っています。
このグループには他に
- 嫌う
- 嫌い
- 毛嫌い・・・特別の理由もなくただ感情的に嫌うこと
- 憎む・・・非常に嫌う
- 嫌気(いやけ)・・・嫌だという気持ち
- 嫌忌(けんき)・・・忌み嫌うこと
といった表現がありました。
また、特徴のある表現としては
- 虫酸(むしず)が走る・・・嫌でたまらない気持ちになる
- 蛇蝎(だかつ)の如く(ごとく)嫌う・・・蛇やさそりを見た時と同じように非常に嫌う
といったものもありました。
同じ〔嫌う〕という意味の言葉でも色々な表現があることに、個人的には人間の何かを嫌う気持ちの根深さを感じました・・・!
嫌悪感の対義語は?
続いて、“嫌悪感”の反対の意味を持つ言葉を探してみたいと思います。
角川学芸出版『類語国語辞典』では、“嫌悪”の対義語として
- 愛好・・・物事を非常に好むこと
を記載しています。
この〔愛好〕と意味の近いことばとしては
- 好く
- 好き
- 好む
- 気に入る
などもあげられています。
嫌悪感の英語表記は?
最後に“嫌悪感”の英語での表記を確認してみましょう。
「Weblio辞書 英和辞典・和英辞典」によると、“嫌悪感”の英訳として
- disgust・・・いや気,いとわしさ
がしめされています。
また、【嫌悪】を研究社『新和英中辞典』で調べてみると、
- (a) hatred・・・憎しみ、憎悪、大嫌い
- (a) dislike・・・嫌う、嫌がる
といった表現がありました。
【dislike】は〔like〕に否定の〔dis〕がついた表現なので分かりやすいですね!
まとめ
それでは今回のポイントのまとめです!
- “嫌悪感”は〔嫌悪〕+〔感〕から成っていることば
- “嫌悪感”の読み方は、「けんおかん」
⇒「けんあく」と読むのは【険悪】 - “嫌悪感”には「ひどく嫌ったり、ひどく憎んだりする感情」という意味がある。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!