先日隣人から、「小学生も読みますので、平易なことばで作ってください」と秋祭りのポスターについて回覧板が回ってきました。
しかし、“平易”なことばってどういうこと?ひらがなって意味かなー、なんて思ったのですが、よくわかりませんので、“平易”について調べてみたいと思います!
平易の意味や読み方は?
はじめに、“平易”の意味と読み方を確認してみたいと思います!
まずは、各辞書を見ていきます。
【平易】各辞書の意味
- やさしいこと。たやすく理解できること。また、そのさま。
(小学館『デジタル大辞泉』) - やさしいこと。むずかしくないこと。また、そのさま。
(三省堂『大辞林 第三版』) - たやすいこと。わかりやすいこと。
(ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』) - 〔理解・解釈などが〕すぐできる様子だ。
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』)
どの辞書でもほぼ同じようなことばで“平易”を説明していますね!
また、三省堂『新明解国語辞典 第七版』で、〔理解・解釈などが〕という注釈をつけて使う対象を限定していることには注目ですね!
【平易】意味をまとめると・・
<読み方>へいい
<意味>易しく、すぐ(理解・解釈など)ができること。
とざっくりまとめることができます!
平易の正しい使い方の例文は?
では、“平易”は具体的にはどのように使われるのでしょうか?
【各辞書の例文】
- 「平易な文章」「平易に説明する」
(小学館『デジタル大辞泉』) - 「 -な言葉で書く」 「 -に説明する」
(三省堂『大辞林 第三版』) - 「―に説明する」
(ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』) - 「-な〔=やさしい〕問題」
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』) - 「―な言葉」「―に説明する」
(角川学芸出版『類語国語辞典』より)
このように、調べた辞書のほとんどは「説明」「文章/言葉」といったことばで、”平易“の例文をつくっています。
次に、実際の文章の中ではどのように使われるのかも見てみましょう!
【実際に文中で用いられている例】
- カバレフスキーは、子供のための音楽を多く作曲しており、比較的平易な技巧で、楽しみながら音楽性を養えるものが多い。(『ピティナ・ピアノ曲事典』〔カバレフスキー:ソナティナ 第1番 ハ長調/piano solo〕の説明より)
- ニュースを主体にし,平易な文章,野心的な特集が特色。(『百科事典マイペディア』〔ニューズウィーク〕の説明より)
- 平易な日常語を使用して貧窮困苦の実情を,また世の非道を描く。(『百科事典マイペディア』〔貧窮問答歌〕の説明より)
- 現行戸籍法では「子の名には、常用平易な文字を用いなければならない」とし、(『日本大百科全書(ニッポニカ)』〔人名用漢字〕の説明より)
こちらでも、「文章」「言葉」といった表現と共に用いられているのが印象的ですね。
平易の類義語は?
では“平易”と似た表現にはどのようなものがあるのでしょうか?
辞書を確認してみたいと思います。
- 簡単
- 易しい
(以上2例 小学館『デジタル大辞泉』/角川学芸出版『類語国語辞典』より) - 容易
- たやすい
- イージー
(以上3例 角川学芸出版『類語国語辞典』より)
といった表現があげられていました。
また、角川学芸出版『類語国語辞典』では
- ちょろい…甘くてたやすい。簡単にやれそうだ。
- 朝飯前…腹が減っていてもできるくらい易しいこと。
- 屁の河童…容易なこと。なんともないこと。
といった、ちょっと面白い表現も紹介されていました。
似たような意味を持つ表現にもいろいろなバリエーションがありますね!
平易の対義語は?
逆に、“平易”の反対の意味を持つ表現としては
- 困難
- 難しい
- 難題
が角川学芸出版『類語国語辞典』では紹介されています。
平易と容易の違いは?
さて、“平易”と似た表現である“容易”にはどのような違いがあるのでしょうか?
三省堂『大辞林 第三版』では「容易」の項で
・類義の語に「平易」があるが、「平易」は問題や文章などがわかりやすい意を表す。それに対して「容易」はある物事を行うのに多くの労力や時間を必要としない意を表す
と解説しています。
また、角川学芸出版『類語国語辞典』では「平易」の注釈で
・「容易」は行うことがたやすい、「平易」は理解することがたやすいという意味で用いることが多い。
と説明しています。
つまり
【平易】…問題や文章、表現がかんたんで、理解しやすい
【容易】…時間や労力を費やすことなくかんたんに行える
という風に使い分けるのですね!
平易の英語表記は?
次に、平易を英語ではどう表現すればよいか、確認したいと思います!
“平易”にあたる単語には
【平易に】simply/plainly
(研究社『新和英中辞典』より)
があげられます。
【plain】は「明白な/わかりやすい/装飾のない」といった意味合いの単語で、日本語では、何も入っていないシンプルなヨーグルトを「プレーンヨーグルト」と言ったりしますが、この「プレーン」=【plain】です。
また、これらの単語を用いた例文には
- Try to write in plain English 〔平易英語で書くようにしなさい〕
(「Tanaka Corpus」より) - Macaulay is easy to understand.〔Macaulay の文章は平易でわかりやすい〕
(「斎藤和英大辞典」より) - to explain in easy language〔平易に説明する〕
(「斎藤和英大辞典」より)
といったものがありました。
“平易”は英語にすると本当に簡単な言葉で表現できるんですね!
まとめ
私の疑問の発端となった、近所の人からの回覧は「ひらがなで」ということではなくて、「小学生でもわかりやすい、読みやすいポスターを」ということだったのですね・・・!
最後に、今回調べたことのポイントをまとめてみました。
- “平易”は「易しく、すぐ(理解・解釈など)ができること。」という意味。
- “平易”の読みは「へいい」
- ”平易“と“容易”は、平易…「問題や文章、表現がかんたんで、理解しやすい」一方、容易…「時間や労力を費やすことなくかんたんに行える」と使い分ける。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!