先日、配られた冊子に「10代に差し掛かると、親が煩わしいものです」という文章がありました。
“煩わしい”ってどう読めばいいの?そしてどんな意味??
今回は“煩わしい”について調べていきたいと思います!
煩わしいの意味や読み方は?
まずはじめに、辞書で“煩わしい”の読み方と意味を確認します。
【煩わしい】各辞書の意味
わずらわし・い〔わづらはしい〕【煩わしい】
① 心を悩ましてうるさい。面倒で、できれば避けたい気持ちである。
② こみ入っていて複雑である。
③ 気がおかれる。気をつかわせられる。
④ からだのぐあいが悪い。病気である。
(小学館『デジタル大辞泉』より)
わずらわしい【煩わしい】
① 心を悩ますことが多くて、気が重い。うんざりする。
② 複雑でめんどうくさい。煩雑である。
③ 気がおける。けむたい。
④ 体の具合が悪い。
(三省堂『大辞林 第三版』より)
煩わしい【わずらわし・い】
・複雑で、めんどうなようす。気が進まないようす。
(ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』より)
わずらわし・い【煩(わ)しい】
①処置(処理)がめんどうで不快に感じる様子だ。
②不快に感じられる点が多く、まともに対応しようという気持ちになれない様子だ。
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)
〔煩わしい〕
①複雑で面倒である。
②面倒でやりきれない。
(角川学芸出版『類語国語辞典』より)
“煩わしい”は「わずらわしい」と読むのですね!
そして、送り仮名の付け方は【煩わしい/煩しい】の二通りがあることもわかりました。
ただし、多くの辞書が採用しているのは【煩わしい】という送り仮名の方なので、自分で使うときは【煩わしい】を使う方が一般的のようです。
また、『デジタル大辞泉』『大辞林』の③④の意味は、例文などから、現在では用いられない古典での使い方だと考えられます。
それでは、意味と読み方を自分なりにまとめます!
<読み方>わずらわしい
<意味>
①複雑でめんどう。
②不快で心を悩まされ、対応するのがおっくう。
③気をつかわなければいけない。
④体調が悪い。
(③④は古典での使い方)
煩わしいの正しい使い方の例文は?
それでは次に、辞書の中にどんな例文が載っているのか見ていきます。
ここでも、上のまとめでの意味ごとに紹介します!
【各辞書の例文】
①の意味合いで・・・
「―・い事務手続き」
(小学館『デジタル大辞泉』より)
「 - ・い手続きを簡素化する」
(三省堂『大辞林 第三版』より)
「―手続き」
(ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』より)
「―手続きを簡素化する」
「一円単位の計算が―」
「難しい漢字を漢和辞典でいちいち探すのは―」
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)
②の意味合いで・・・
「近所付き合いが―・い」
「雨の日は出掛けるのが―・い」
(小学館『デジタル大辞泉』より)
「 - ・い人間関係」
(三省堂『大辞林 第三版』より)
「現役を引退して、―人間関係から解放された」
「町の古さやしきたりが―」
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)
このように、①の意味では「手続き」といったことばで、”煩わしい“の例文をつくることが多いことがわかりました。
次に、実際の文章の中ではどのように使われるのかも調べてみましょう!
【実際に文中で用いられている例】
・煩わしい人間関係を無視し、実力で勝負してきた仙元には敵も多い。
(永瀬隼介『サイレント・ボーダー』より)
・煩わしい一切の仕事から離れて内地へ帰る此の男の顔は抑え切れぬ喜びに輝いて居た。
(池田弥三郎『手紙のたのしみ』より)
・対人関係について神経質な私にとってはかなり煩わしい問題である。
(倉田百三『愛と認識との出発』より)
・ドライアイスの交換をはじめ、いろいろと煩わしい仕事があるはずだった。
(東野圭吾『幻夜』より)
・そうしなかったのは、他人と関わり合うことが煩わしいからだった。
(角田光代『対岸の彼女』より)
・腕にぴったりとしたシャツの袖が、何か煩わしいような気がした。
(三浦綾子『海嶺(中)』より)
このように「仕事」や「人間関係」に対して使う例文を多く見つけました。
さらに、辞書の例文で多くみられた「手続き」も広い意味では「仕事」と言えますね。
また、「近所づきあい」も「人間関係」のことだと言えます。
ただし一方で、「シャツの袖」「雨の日」などに対して使われる例もあり、「仕事」「人間関係」以外に使うのが不自然ということではないこともわかります!
煩わしいの類語は?面倒・厄介との違いは?
次に、“煩わしい”の類語を調べてみたいと思います!
角川学芸出版『類語国語辞典』では、最初の方に書いた意味のまとめと同様に、〔物事が多くごたごたしている〕という①のグループと〔いやな気持で不愉快〕という②のグループとに分けて、類語を紹介しています。
それをふまえて、それぞれの意味ごとに類語を見ていきましょう!
・煩雑・・・物事が多くてごたごたしているさま
・ややこしい・・・事情が込み入っていて面倒だ。
・面倒・・・手数が掛り煩わしいこと。
・厄介・・・処理が面倒で手数が掛るさま。
②の意味での類語・・・
・憂鬱
・気重(きおも)・・・気分がすっきりしないこと。
・面倒・・・手数がかかって嫌なこと。
・厄介・・・面倒で手がかかること。
・億劫(おっくう)・・・気が進まず面倒なこと。
(角川学芸出版『類語国語辞典』より)
【面倒】と【厄介】は①②のどちらのグループでも類語として紹介されていることから、この二語は特に“煩わしい”と似た表現と言えそうです。
では、【面倒】【厄介】と“煩わしい”はどのように使い分ければいいのでしょうか?
まずは簡単に、【面倒】【厄介】の意味も改めて確認してみましょう!
① 手数がかかってわずらわしい・こと(さま)。
② 世話。厄介。
(三省堂『大辞林 第三版』より)
① 面倒で手間のかかること。迷惑なこと。また、そのさま。
② 面倒をみること。世話すること。
(三省堂『大辞林 第三版』より)
となります。
と、ここまでの意味を見てきても違いはわかりにくいですね・・・
ですので、次は具体的に、どんな例文では使えて、どんな例文では使えないのか確認してみたいと思います!
「親戚に―になる」
⇒【煩わしい】× 【面倒】〇 【厄介】〇
「―手続き」
⇒【煩わしい】〇 【面倒】〇 【厄介】〇
「寝不足の日は朝食が―だ」
⇒【煩わしい】△ 【面倒】〇 【厄介】×
「古いまちの人間関係は―だ」
⇒【煩わしい】〇 【面倒】〇 【厄介】〇
「爆発物の廃棄は―な仕事のひとつだ」
⇒【煩わしい】× 【面倒】× 【厄介】〇
と、このような使い分けがされると私は感じています!
最後にザックリとですが、表にまとめてみます。
つまり、「世話になる」の意味合いを除いて考えた時、【煩わしい】【面倒】は必ず「気乗りしない」という意味を含むが、【厄介】はそうでない場合もある、と言えます!
煩わしいの英語表記は?
では、次に”煩わしい“を英語ではどのように表現するのか、簡単に見てみしょう。
研究社 『新和英中辞典』では
nuisance/troublesome/annoying/irksome
といった単語などが紹介されていました。
・annoying・・・うるさい、迷惑な、じれったい
・irksome・・・あきあきする、うんざりする、退屈な
また、troublesome は【trouble】の仲間の単語です。
まとめ
最後に今回調べたことのポイントをまとめていきます!
✅“煩わしい”は「わずらわしい」と読む
✅意味は、①複雑でめんどう。②不快で心を悩まされ、対応するのがおっくう。
✅類語には【面倒】【厄介】があり、【厄介】のみ「気乗りしないわけではないが、解決が困難」という意味合いで使える。
長くなってしまいましたが、今回はこれでおしまいです。
最後までお読みいただきありがとうございました!