先日、SNSで友人たちが「晒すやつも結局リテラシー低くね?(笑)」といったやりとりをしていました。
リテラシーというのは、ネットリテラシーの事だと思うのですが、自分は“晒す”の意味がわからず、会話に参加できませんでした。。。
そこで、今回は“晒す”の意味について調べてみたいと思います!
晒すの意味や読み方は?
まずは、辞書で“晒す”の意味と読みを確認したいと思います!
【晒す】各辞書にある意味は?
※現代ではあまり一般的ではないと思われる意味の部分は文字を小さくしてあります。
さら・す【晒す/曝す】
- 1 日光・風に当てて干す。
- 2 風雨や日光の当たるままにしておく。
- 3 布などを水洗いしたり日光に当てたり、または薬品を用いたりして白くする。漂白する。
- 4 野菜などのあく・臭みなどを抜くために水に浸す。
- 5 広く人目に触れるようにする。
- 6 避けることができないむずかしい事態に身を置く。
- 7 (「目をさらす」の形で)じっと見る。
- 8 晒しの刑に処する。
(小学館『デジタル大辞泉』より)
さら・す【晒す・曝す】
- ① 日光や風雨の当たるままにしておく。
- ② 布・紙などを水洗いして日光に当てたり、薬品で処理したりして白くする。漂白する。また、染め物・食品などを水で洗い流す。 《晒》
- ③ 野菜の苦みや辛みをとるために水に浸す。
- ④ 日光にあてる。干す。
- ⑤ 広く人々の目に触れるようにする。
- ⑥ 危険な状態に置く。
- ⑦ (「…に目をさらす」の形で)丹念に見る。
- ⑧ さらしの刑に処する。
(三省堂『大辞林』より)
さらす【晒す】
- ①外に出して日(風雨)のあたるまま(よう)にしておく。
- ②水で洗ったり日に当てたりなどして、白くする。
- ③無防備の状態(好ましくない環境)に身を置く。
- ④(恥ずかしい状態などを)隠すところなく見せる。
- 〔狭義では、重罪人を見せしめのために世間に人々に一定期間見せることを指す。〕
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)
以上のように、各辞書の記載は共通しているところが多いですね!
最後にざっくりと自分なりに意味をまとめてみたいと思います!
【晒す】の意味と読み方のまとめ
<読み方>さらす
<意味>
- ①(日光・風雨・危険などを)避けずにそのままにしておく
- ②人目にふれる/人目にふれるようにする
- ③色や辛味などをぬくために水に通す
曝すとの違いは?
辞書を見ていく中で、“晒す”は「さらす」と読み、「曝す」と漢字で書くこともできることを知りました。辞書上では、同じ項目の中に“晒す”と「曝す」があるため、“晒す”と「曝す」はどちらで書いても大きな意味合いでは違いはないと考えられます。
ただし、『新明解国語辞典』のように、“晒す”のみを記載している辞書もあることから、わずかに“晒す”の方が一般的な表記と考えることもできますね。
ではそもそもの【晒】【曝】の意味には違いはあるのでしょうか?
辞書を見てみましょう。
【晒】
織物に付着している不純物を取り去り、天然のままでは純白ではないので、漂白剤を使って純白にすること、あるいは漂白した綿織物、麻織物などのこと。
(小学館『日本大百科全書』より)
【曝】
1 日光に当てて水分を発散させる。
2 むき出しにする。むき出しになる。さらされる。
(小学館『デジタル大辞泉』より)
とあり、【晒】【曝】の漢字自体は全く異なった意味を持っていることがわかりました。
そして、それぞれの意味を見ていくと、現在私たちが使う“さらす”は【晒】【曝】の両方の意味合いを掛け合わせた表現だと考えられますね!
晒すの正しい使い方の例文は?
では、“晒す”は実際にはどのように使えばいいのでしょうか?
意味のまとめ、①②③の項目ごとに見ていきましょう。
①〔避けずにそのままにしておく〕
「風雨に―・された石仏」
(小学館『デジタル大辞泉』)
「危険に身を―・す」
(小学館『デジタル大辞泉』・三省堂『大辞林』・三省堂『新明解国語辞典 第七版』)
「日に-・して肌を焼く」
(三省堂『大辞林』)
②〔人目にふれる/人目にふれるようにする〕
「恥を―・す」
(小学館『デジタル大辞泉』・三省堂『大辞林』)
「酔態を―・す」
(小学館『デジタル大辞泉』・三省堂『大辞林』)
「人目に―」
(三省堂『大辞林』・三省堂『新明解国語辞典 第七版』)
③〔色や辛味などをぬくために水に通す〕
「牛蒡を―・す」
「布巾を―・す」
(小学館『デジタル大辞泉』)
「黄ばんだ布を-・して白くする」
「葱を-・す」
(三省堂『大辞林』)
このように、各辞書の例文をみてみると、共通して記載される例文が多いことに驚きました!また、共に使われる言葉も重なっていました。多く使われる言葉は
①では「風雨」「危険」「日」、②では「恥」「醜態」、③では「ふきん」「野菜」
でした。
つまり、“晒す”が使わるのは限定された場面だと考えることができますね!
晒すの類義語は?
続いて、“晒す”の類義語を探してみたいと思います!
ここでも①②③の意味ごとに見ていきたいと思います。
①〔(日光・風雨・危険などを)避けずにそのままにしておく〕
暴露(ばくろ)・・・風雨にさらすこと、むき出しにすること
当てる・・・さらす。「衣服を日に当てる」
吹き曝し(ふきさらし)・・・覆いがなくて風の当たるままになっていること。その場所。
②〔人目にふれる/人目にふれるようにする〕
暴く(あばく)・・・隠れているものを掘り起こして取り出す。
むきだし・・・あらわに出すこと。その状態。
丸見え・・・全部見えること、
③〔色や辛味などをぬくために水に通す〕
褪せる(あせる)/褪める(さめる)・・・色が薄くなり、つやが失われる
漂白・・・さらしたり、薬品を使ったりして白くすること
(参考:角川学芸出版『類語国語辞典』・情報通信研究機構「日本語WordNet」)
類語を探してみると、①と②の境目はあいまいだなと感じました。
晒すの英語表記は?
最後に、“晒す”の英語での表現を研究社『新和英中辞典』で見てみたいと思います。
・bleach・・・漂白する
・expose・・・(風雨・日光・危険)にさらす
〔expose something to the sun 日にさらす〕
〔expose oneself to danger 危険に身をさらす〕
・disgrace oneself in public・・・恥をさらす
代表的な表現に、以上のようなものがあげられます。
【bleach】は髪の脱色で馴染みの「ブリーチ」ですね。
【expose】は「さらす、(…を)触れさせる、あばく、仮面をはぐ、(…を)人目にさらす、露出する」といった意味を持ち、日本語の“晒す”と似た表現と考えられます!
まとめ
それでは今回のポイントのまとめです!
- “晒す”の読み方は「さらす」
- “晒す”はざっくりと
①(日光・風雨・危険などを)避けずにそのままにしておく
②人目にふれる/人目にふれるようにする
③色や辛味などをぬくために水に通す
の三つの意味がある - 「さらす」は「曝す」と表記されることもある
- “晒す”という表現は使う場面が限定的
ちなみに、辞書に載っている“晒す”では先日友人たちが言っていた“晒す”とぴったり当てはまる意味がないなぁと思い、恥を忍んで確認したところ、この時友人たちが言っていたのは、ネット上の私刑として問題になっている、個人情報などをSNSなどで公開する行動の事だったようです。現在はこの意味で使われることも多いようなので、要チェックですね!
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!