先日、東川篤哉さんの『謎解きはディナーのあとで』を読んでいたところ、「手にした武器を除けば、ともによく似た雰囲気を醸し出している」という一文がありました。
ところがここにある、”醸し出す“の意味がいまいちわからず、物語に集中できませんでした・・・
そこで今回は、“醸し出す”について調べてみたいと思います!
醸し出すの意味や読み方は?
では早速、辞書で“醸し出す”の意味と読みを確認したいと思います!
【醸し出す】各辞書の記載
- かもし‐だ・す【醸し出す】
ある気分や感じなどを作り出す。
(小学館『デジタル大辞泉』より) - かもしだす【醸し出す】
ある雰囲気・気分をそれとなく作り出す。
(三省堂『大辞林 第三版』より) - 醸し出す【かもしだ・す】
【1】穀類から酒などを造り出す。
【2】気分や雰囲気などを作り出す。
(ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』より) - かもしだ・す【醸し出す】
〔ある気分などを〕自然に作り出す。
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)
以上のように、各辞書の意味はほぼ共通していますね!
それではざっくりと自分なりに意味などをまとめてみたいと思います!
【醸し出す】の意味と読み方のまとめ
<読み方>かもしだす
<意味>気分や雰囲気をそれとなく作り出す
醸し出すの正しい使い方の例文は?
それでは、“醸し出す”はどのように使えばよいのでしょうか。
まずは辞書の例文を見ていきます!
【“醸し出す”の使い方-各辞書の例文-】
- 「楽しい雰囲気を―・す」
(小学館『デジタル大辞泉』・ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』) - 「陽気な雰囲気を-・す人」
(三省堂『大辞林 第三版』より) - 「なごやかな雰囲気を―」
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)
二つの辞書に載っている例文もありました。「楽しい」「陽気」「なごやか」など、いい雰囲気の時に使われているのが印象的です!
では、続いて、実際の文章の中ではどのように使われるのかも見てみたいと思います。
【“醸し出す”の使い方-実際に文中で用いられている例-】
- 私は、窒息しそうな雰囲気をだんだん醸し出すことに成功した。
(サガン/朝吹登水子訳『悲しみよこんにちは』より) - そこには無意識の何ともいえないおかしさが醸し出されるからである。
(群ようこ『贅沢貧乏のマリア』より) - 歴史の時間の分だけ伝説を捏造ねつぞうするのも無理ない不気味さが醸し出されている。
(若合春侑『無花果日誌』より) - たとえるならば、巨大な動物の骨のような印象を醸し出していた。
(森博嗣『捩れ屋敷の利鈍』より) - 鄙びた風景の中で黄金色に輝く大蓮華は一種異様な雰囲気を辺りに醸し出していた。
(宇江佐真理『髪結い伊三次捕物余話 黒く塗れ』より)
実際に使われる例を見ていくと、辞書に記載される例文とは異なり、「窒息しそう」「不気味」「異様な」などといった、マイナスのイメージを持つ場合にも“醸し出す”が使われていることがわかりました!
醸し出すの類語や言い換えは?
続いて、“醸し出す”の類語を確認してみましょう!
- 醸す・・・(雰囲気・状態を)作り出す。生じさせる。「物議を―」
- 醸成・・・しだいに情勢を作り出していくこと。
- 湧く(わく)・・・吹き出るように起こる。予想しないのに起こる。「興味が―」
- 匂わせる
- 生む
- 漂わす(ただよわす)
(以上参考:角川学芸出版『類語国語辞典』・「Weblio 類語辞書」)
といった表現があげられます。
とはいえ、どの表現も“醸し出す”とは少しずつ意味が異なるので、単純な言い換えではなく、それぞれの意味合いにあわせて【それとなく】【何気なく】などといったニュアンスを添える必要がありそうですね。
醸し出すの英語表記は?
それでは次に、“醸し出す”の英語表現を確認してみましょう!
(以下参考:研究社『英和中辞典』・「Weblio 英和辞書」)
- 【bring about】・・・引き起こす、もたらす
- 【engender】・・・発生させる
- 【produce】・・・生産する、作り出す、描く
といった表現があげられます。
例えば、「家庭的な雰囲気を醸し出す」と言いたい場合には
- producea homey atmosphere
といった英文が用いられます。
ちなみに、【homey】は「家庭の、気のおけない、くつろいだ、気楽な」という意味で、【home】と仲間のことばです。
まとめ
最後に、今回のポイントをまとめたいと思います!
“醸し出す”の読み方は「かもしだす」
“醸し出す”は「気分や雰囲気をそれとなく作り出す」という意味
“醸し出す”を言い換える際には、言葉を補ってニュアンスを添える
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!