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咆哮の意味(定義)や読み方は?使い方の例文から類語や英語も!

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先日、高校の教科書に載っていた中島敦の『山月記』を読み直してみると、「虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。」という印象的な一文で終わっていました。

この咆哮という表現、ここ以外でみたことないな、とちょっとひっかかりました。

そこで今回は咆哮について調べてみたいと思います!

咆哮の意味(定義)や読み方は?

まずは辞書で”咆哮“の意味を確認していきます!

【咆哮】―各辞書の記載―

  • ほう‐こう【咆哮】
    ・猛獣などが、ほえたけること。また、その声。
    (小学館『デジタル大辞泉』より)
  • ほうこう【咆哮】
    ・ほえること。獣などがたけりほえること。また、その声。
    (三省堂『大辞林 第三版』より)
  • ほう‐こう【咆哮】
    ・ほえさけぶこと。獣などがほえたけること。咆号。比喩的に、勢いの激しい水音や風の音にもいう。
    (小学館『精選版 日本国語大辞典』より)
  • 咆哮【ほうこう】
    ・けものなどが、ほえること。また、その声。
    (ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版』より)
  • ほうこう【咆哮】
    ・「(獣などが)ほえる」意の漢語的表現。
    (三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)

どの辞書も共通して「獣などがほえること」という意味を記載していますね。

【咆哮】の意味と読み方のまとめ

<読み方>ほうこう

<意味>獣などがほえること

咆哮の正しい使い方の例文は?

次に、“咆哮”はどのように使えばよいのか確認してみたいと思います。

上の意味調べでみた辞書では

  • 「虎(とら)が咆哮する」(小学館『デジタル大辞泉』より)
  • 「獅子の-」(三省堂『大辞林 第三版』より)

といった例文がしめされていました。

では実際に小説などで使われる表現にはどのような例があるのでしょうか?

【“咆哮”の使い方-実際に文中で用いられている例-】

  • 風が樅の林を抜けて吹きわたると、無気味な狼の咆哮が村々まで聞えた。
    (澁澤龍彦『世界悪女物語』より)
  • 僕は、我々が生を越えて行ったときにも咆哮する闇の風音を一瞬聞いた。
    (ウルフ/鈴木幸夫訳『波』より)
  • 彼女の手を引いて身を翻すと、私は咆哮する竜巻の手を逃れようとした。
    (森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』より)
  • うなりとも咆哮ともつかぬつなみのような喚声があがったのはこのときだ。
    (山田風太郎『江戸忍法帖』より)
  • 俺は身体中から殺意を放ち、同時に地の底から響くような咆哮をあげた
    (高橋龍也『痕 ―きずあと―』より)
  • それと同時に第四の洞窟から、周さんの怒りにみちた咆哮が聞こえてくる。
    (横溝正史『金田一耕助ファイル01 八つ墓村』より)

このように、作品に使われる例を見てみると、実際に獣が吠えている場面というよりも、「獣のように吠えている」「獣のようにうなっている」といった比喩表現として使われることが多いことがわかりました。

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咆哮の類語は?

次に、”咆哮“の類語を調べてみたいと思います!

角川学芸出版『類語国語辞典』では“咆哮”は〔鳴き:鳥・獣。虫などが声を出すこと〕のグループに分類されています。

このグループには他に

  • 吠える
  • 嘯く(うそぶく)・・・吠える、大声を出す
  • 哮る(たける)・・・鋭い声でほえる。声を高く叫ぶ
  • 嘶く(いななく)・・・馬が声高くなく

といった表現が分類されています。

【嘯く】という表現は、「とぼける」という意味以外にも、吠えるという意味があるのですね!

咆哮と雄叫びの違いは?

ちなみに、“咆哮”と似て感じられる表現に【雄叫び(おたけび)】がありますが、【雄叫び】は『類語国語辞典』では“咆哮”と同じグループには分類されていませんでした。

この両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

【雄叫び】を『類語国語辞典』『デジタル大辞泉』『大辞林 第三版』で調べてみるといずれの辞書でも「勇ましい叫び声」という意味だと書かれています。

また、「叫ぶ」と表現されることからわかるように、声を上げるのは基本的には人間です。

これらをふまえて、”咆哮“と【雄叫び】の違いを確認してみましょう。

・発するのは、“咆哮”は基本的に雄叫びは人

雄叫びには「勇ましい」という意味があるが、“咆哮”にはない

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咆哮の英語表記は?

最後に“咆哮”の英語での表記を確認してみましょう。

研究社 新和英中辞典によると、

【咆哮】

  • 〈猛獣の〉 roaring
  • 〈犬・狼の〉 howling
  • 〈人の〉 yelling

【咆哮する】

  • 〈猛獣が〉 roar
  • 〈犬・狼が〉 howl
  • 〈人が〉 yell.

とあります。

【roar】の訳を詳しく見てみると「ほえる、轟音(ごうおん)を発する、うなる、鳴り響く、大きな音を立てて行く、わめく、泣きわめく、笑いどよめく、(…に)どなる、叫ぶ」とあるので、上で調べた例文などと照らし合わせても【roar】【roaring】は “咆哮”とかなりニュアンスの似た表現だと考えられそうですね!

まとめ

それでは今回のポイントのまとめです!

  • ”咆哮“の読み方は「ほうこう
  • ”咆哮“には「獣などがほえること」という意味がある。
  • “咆哮”を発するのは基本的に獣。一方【雄叫び】は人があげる
  • 雄叫びには「勇ましい」という意味があるが、“咆哮”にはない。
  • “咆哮”と同じような意味の英語表現に【roar】【roaring】がある

それでは最後までお読みいただきありがとうございました!

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