先日、ニュースを読んでいたところ、「ゲームにおける年齢認証を厳格化」という記事がありました。
なんとなく、厳しくするって意味なのかな、と推測はできますが、なぜ、もう少しなじみのある「厳密」「厳重」といった表現ではなく、“厳密”が使われるのかなぁとぼんやりと、疑問に思いました。
そこで今回は“厳格”について調べてみたいと思います!
厳格の意味は?
ではまずは、辞書で“厳格”の意味と読みを確認したいと思います!
【厳格】―各辞書の記載は?―
- げん‐かく【厳格】
・規律や道徳にきびしく、不正や怠慢を許さないこと。また、そのさま。
(小学館『デジタル大辞泉』より) - げんかく【厳格】
・不正・怠慢・ごまかし・失策などを全く許さないきびしい・態度(さま)。きびしくて、少しも手加減をしないさま。
(三省堂『大辞林 第三版』より) - げん‐かく【厳格】
・不正やごまかしや怠慢を少しも許さないというような、きびしい態度や様子。
(小学館『精選版 日本国語大辞典』より) - 厳格【げんかく】
・きびしくて、不正や誤りを少しも許さないようす。
(ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版 』より) - げんかく【厳格】
・きびしくて誤りやごまかしを少しも許さない態度(様子)。
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)
どの辞書もほぼ同様の内容ですね。
それをふまえて、ざっくりと自分なりに、“厳格”の意味などをまとめてみたいと思います!
【厳格】の意味と読み方のまとめ
<読み方>げんかく
<意味>きびしくて、誤りや怠慢、不正やごまかしを少しも許さないという態度、様子
厳格の正しい使い方の例文は?
それでは、“厳格”は具体的にはどのように使えばよいのでしょうか。
辞書の例文を見ていきましょう!
【“厳格”の使い方-各辞書の例文-】
- 「厳格な教育」
「厳格に規定する」
(小学館『デジタル大辞泉』より) - 「 -な家庭」
「 -に審査する」
(三省堂『大辞林 第三版』より) - 「―な家庭」
(ベネッセコーポレーション『ベネッセ国語辞典 電子特別編集版 』より) - 「―な先生」
(三省堂『新明解国語辞典 第七版』より)
こうやって、辞書の例文をみてみると、似たような例文が複数の辞書に載っているのがわかります。
また、しつけや教育を連想させる場面で使われている印象がありますね!
厳格の対義語は?
次に、”厳格“の対義語を確認してみましょう。
角川学芸出版『類語国語辞典』で“厳格”の項を調べると、対義語として、【寛容】という表現がしめされています。
また、【寛容】の項には以下のような説明があります。
【寛容】・・・心が広く、過ちをとがめずに許すこと
「寛容の精神」「ご寛容を願う」
対義語:厳格・狭量(きょうりょう)
対義語に、ちゃんと”厳格“がありますね!
では、もう一つの対義語である、【狭量】と”厳格“は類語と考えてよいのか、引き続き考えます。
厳格の類語は?
上で見たように、“厳格”の対義語である【寛容】のもう一つの対義語である【狭量】は“厳格”と類義語といえるのでしょうか。
また、他にも類語を確認してみましょう!
引き続き、角川学芸出版『類語国語辞典』を参考に見ていきたいと思います。
この辞書の中で、“厳格”は〔厳重:きびしくていい加減なことを許さないこと〕のグループに分類されています。
一方【狭量】は〔狭量:人を受けいる心がせまいこと〕というグループを代表する表現です。
そのため、“厳格”と【狭量】は類語ではない、と考えた方がよさそうです。
では、”厳格“の類語にはどのようなものがあるのでしょうか。
辞書には以下のような表現が載っていました。
- 厳しい
- 厳に(げんに)・・・厳重に。厳しく
- 厳重・・・厳しくていい加減なことを許さないこと⇔寛大
- 厳正・・・厳格で公正なこと
このような表現が類語なのですね!
ここまで出てきた各語の関係、ちょっとわかりにくいですね。
というわけで、それぞれの関係を図にまとめてみたいと思います。
厳密との違いは?
さて、私自身、“厳格”の類語かなと予想していたのに、上の辞書に出てこなかった表現に【厳密】があります。【厳密】と”厳格“はどのように違うのでしょうか?
【厳密】は各辞書には
- こまかい点まで手落ちなく厳しく行うさま
「厳密な検査」「厳密に言えば」
(岩波書店『広辞苑 第五版』より) - 誤りや手落ちのないように、細かいところまできびしく目を行き届かせていて、すきがないさま。
「厳密な検査を受ける」「厳密に言えば多少異なる」
(小学館『デジタル大辞泉』より) - 細かな点まできびしく行うさま。細かいところまで注意が行き届いているさま。
「厳密な調査」「厳密に言うと」
(三省堂『大辞林 第三版』より)
と説明されていて、【厳密】という言葉は「細かい」ことが大きな意味を持っていると考えられます。
これは、”厳格“にはないニュアンスですね。
また、”厳格“はしつけや教育を連想する場面で使われているのに対し、【厳密】は検査・「-にいうと」の形でしか例文がありませんね。このことから、使われる場面も異なると考えられますね。
厳格の英語表記は?
それでは次に、“名残”の英語表現を「研究社 新和英中辞典」で確認してみましょう!
【厳格な/厳格に】
- strict/strictly
- stern/sternly
- severe/severely
【厳格な父親】
・a stern [strict] father
- 【strict】・・・厳格な、厳しい、厳密な、精密な、完全の
- 【stern】・・・厳格な、断固たる、容赦のない、恐ろしい
- 【severe】・・・厳格な、厳正な、厳密な、過酷な、容赦のない、痛烈な
と、このような表現があることがわかりました・・・が、どの表現も自分にはあまり馴染みのないものでした。そもそも”厳格”自体、日本語でもほとんど触れることがない表現なので、しょうがないかもしれませんが、もっと勉強したいなと思いました!
まとめ
それでは今回のポイントのまとめです!
- “厳格”の読み方は「げんかく」
- “厳格”はきびしくて、誤りや怠慢、不正やごまかしを少しも許さないという態度、様子という意味
- “厳格”の対義語は【寛容】
- ”厳格“はごまかし、不正が問題になる場面でも使える一方、【厳密】は細かさが問題になる場面で使われる。
一番初めに書いたニュースの引用で、【厳密】ではなく”厳格“という表現が使われていたのは、細かさよりも、「ごまかしや不正を許さない」というニュアンスを重視したためとも考えられますね!
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!